萩原朔太郎氏の「猫町」を読む。
なんとも幻想的で不思議で、でも魅惑的な小説だった。
解説を読むと、氏は小説を書くのには非常に苦労されたということだった。
元夫人との離婚のいきさつを長編小説にする構想があったそうなのだけど、結局実現させられずじまいだったとのこと。
この「猫町」は、詩人である氏が、「小説である」と納得することが出来た数少ない短編小悦のうちのひとつだったそうだ。
そういえば「猫町」の小説の中にも、以下の↓の一文が出てきて、非常に印象に残った。
「ただ小説家でない私は、脚色や趣向によって、読者を興がらせる術を知らない」
詩人の大家も小説を書くときには、そういう気後れというか気恥ずかしさというか自信のなさ、みたいなものを持っていらしたのかなあと考えると実に興味深い。